会社で雇用している外国人従業員が不法滞在であることが分かった場合、不法就労者の雇用は法律で禁止されているため、解雇せざるを得ません。
ただし、雇用した外国人従業員を、不法滞在を理由として解雇できるかどうかが問題となります。
この場合、会社が不法滞在を知っていたかどうかで対応方法が違ってきます。
企業が当該外国人と雇用契約を結ぶときに、パスポートや履歴書、在留カード(外国人登録証明書)などで在留資格や在留期間などの確認をし、合法的に在留していることのチェックをして雇用したケースです。
その後、本人の提出した資料が偽造だったことが判明して不法滞在状態が明らかになったり、在留期間更新申請を怠り不法滞在状態になってしまった場合が該当します。
まず、採用時の経歴詐称であれば、通常は就業規則の懲戒事由の採用時の重要な経歴の詐称として、即時解雇ができる可能性が高いと思われます(所轄労働基準監督署の認定を受けて対処します)。
また、在留期間の更新を忘れて不法滞在状態になってしまった場合は、引き続き在留を続けることが困難なため、出国命令制度の手続等を行う前に本人の退職の意思を確認します。
また、あらかじめ就業規則等に、在留資格を更新できなかった場合には退職とすることを規定しておきます。
採用の前から当該外国人が不法滞在であることを知っていて雇用したケースで、入管法で外国本人の不法就労、雇用企業の不法就労助長罪に該当しますが、違法状態であっても雇用関係は成立しているとされます。そのため、労働基準法などの労働者保護規定が適用され、事業所の就業規則と照らし合わせて解雇を取り扱わなければなりません。
たとえ不法就労者であっても、通常の従業員の解雇と同じくきちんと30日前の解雇予告を行うか、30日分以上の平均賃金を払う法的義務が生じることになります。